池上本門寺の小堀遠州作「松濤園」が特別公開

寺町の風情と名庭を味わう

東急池上線「池上駅」を降りると、賑やかでありながらどこか懐かしさを感じさせる町並みがあります。そして参道に導かれるように進んで門前町を抜けると、正面に石段を控えた池上本門寺の総門が目に入ります。

日蓮宗大本山 池上本門寺」は日蓮上人が1282年に入滅した霊跡です。紀州徳川家・加藤清正家・狩野探幽家等の名家のみならず、英一蝶(絵師)や鍵屋(花火師)、近代にかけては幸田露伴・幸田文親子(作家)・花柳章太郎(新派俳優)・市川雷蔵(映画俳優・力道山(プロレスラー)などの様々な著名人の墓地があり、いかに厚い信仰を寄せられてきたかが窺い知れます。

初詣では毎年15万人が参詣する大寺院の本門寺も、行事のない平常時は緑豊かで開放感あふれる穏やかな場所です。総門に続く加藤清正公寄進の96段の石段は信仰の至難を忍ぶ象徴だけに息も切れますが、上り切って見下ろす門前町は石段沿いの木々を額縁とした一幅の絵のようで、毎度思わず声をあげてしまいます。ゴールデンウィークの頃は、本門寺に至る参道の左右の塔頭も手をかけた美しい庭を公開されていて、山吹・牡丹・雪柳・小手毬・躑躅・菖蒲などの初夏の花が日差しを照り返し鮮やかに咲いています。境内の緑陰はそんな青嵐の頃も梅雨時紅葉時もそれぞれの風情を見せて、まさにヒーリングスポットです。

大堂、五重塔、日蓮の遺灰を収めたという多宝塔、宝物展示もある霊宝殿など素晴らしい見所はいつでも拝見できます。特別な機会にしか見られないのが、今年は9月4日から10日のみ一般公開される庭園「松濤園」です。私も毎回遠くから覗くばかりでしたので、今回の特別公開を楽しみにしている一人です。

「松濤園」は都内最大級の4000坪の池泉回遊式庭園で、当時随一といわれた小堀遠州の作と言われています。16世紀当時の本門寺は加藤清正公・徳川家・加賀前田家の帰依を得て大伽藍や境内が整備された時期でもあり、雄大で品位ある作風といわれています。さらに、江戸城無血開城を導いた西郷隆盛と勝海舟の会談がこの庭園の東屋で行われ、園内にその記念碑があるそうです。

この公開時期はまだ残暑が厳しい時期とはいえ、境内には憩える場所がたくさんあります。入場無料で6日7日には抹茶もいただける(500円)そうですので、貴重なお庭を楽しんではいかがでしょうか。詳細はこちらで読む事ができます。

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